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香川でがんばっじょるけん

社会福祉法人ラーフ 理事長 毛利さん インタビュー

香川で頑張っている人に注目♪

社会福祉法人ラーフ 理事長
毛利 公一 さん

香川でがんばっじょるけん!第2回

今回、観音寺を拠点に様々な事にチャレンジされている、「社会福祉法人ラーフ」理事長 毛利さんを取材させていただきました。ご自宅兼事務所にお伺いすると笑顔でお出迎えいただき、貴重な時間を惜しむ事なく様々なご経験を聞かせていただく事ができました。

『明るく前向き、そして負けず嫌いな性格で、頚髄損傷で首から上が動くだけの身体ですが、持ち前の性格で人生突き進んでいます』と自己紹介してくださった毛利さん。
障がいの有無に関係なくパワフルにご活躍される起業人としてのお考えや、地元愛についてもお話いただきましたので、まいぷれ高松でご紹介させて頂きます。

自分の経験を生かせる分野で起業

NPO法人として設立当時のラーフ
NPO法人として設立当時のラーフ
――なかなか自分で起業したいと考えながらも実現できる方は少ないと思うのですが、ご自身で起業される事をお考えになったきっかけなど、どのような経緯から現在に至るのかを是非教えていただけないでしょうか?

きっかけは、今から8年ほど前だったと思いますが、ある企業が福祉事業から撤退するという事をニュースで知り、介護難民が増えるのではないかと思ったのです。自分自身も介護を依頼するため、事業所選びをしていた時期でした。

介護の分野においては、人員も足りていないと聞いた事もありました。このままでは、介護難民が出てしまうのではないかという事、自分自身にも関わる大事なことでもあったので、当事者の目線でサービスできるような介護事業を一からできないかと考え始めました。

実は、それまで仕事に就けず悩んでいました。講演活動はしていたのですが、どういう仕事が自分には良いのか、リハビリもして仕事もして…と、将来を考えると両親をずっと頼ることも出来ない。当然自分にも関わるのですが、同じ境遇の方の介護難民を増やさないための方法はないのか、という様々な思いもありましたので、当事者目線でやってみようと思い立ちました。

それから、陸上部の同級生だった友人に連絡を取り、会社を立ち上げたいという相談をし、その時すでにラーフとして展開する計画をまとめていたので、計画とともに介護の会社を作ることも伝え賛同してもらい一緒に動き始めました。
その頃の私はまだまだ知識不足でしたので、同級生と一緒に市役所などへ出向き、事業としての立ち上げ方のアドバイスを貰い、介護事業に携わる方を紹介してもらえればそちらへ訪問し、お話を伺うということを何度も繰り返しました。
その年の5月ぐらいから動き始めましたが、約半年経った10月には人材集めや事業に必要な書類を揃え、NPO法人として認証を得ることが出来ました。

2015年6月に社会福祉法人となり、現在は、職員45人4箇所での居宅介護事業、障がい者就労支援B型事業、市の委託事業として発達障がい者(16歳以上)の支援センターを運営しています。
事業としては大きな3つと、イベント企画運営を行いながら講演活動も継続していきたいと考えています。

人と人との繋がりからのイベント企画運営

ふれあい夜市でのストリート棒高跳びショー
ふれあい夜市でのストリート棒高跳びショー
――先ほどのお話の中で、イベントの企画運営という言葉が出てきましたが、どのような事を行っているのでしょうか?

昔は、すぐ近くに商店街やアーケードがあり、土曜夜市という地域のイベントが行われていました。毎週土曜の夜に屋台が並び沢山の人で賑わっていたことを覚えています。
高校生や大学生の頃は特に気にしていなかったのですが、受傷後地元に帰ってきた時に、高校時代にはまだあったアーケードがなくなっており、道幅が広くなり綺麗にはなっていたのですが、商店も無くなり閑散としていて、さみしさを感じていました。

その後、高校の先輩同窓生である観音寺市の白川市長と会食する機会があり、土曜夜市の思い出を偶然話している中で、夜市の計画を練ってみてほしいという依頼がありました。
会食の席での何気ない会話だったとは思うのですが、私は企画を考えプレゼンを行い、市の後押しもいただけましたので、今では毎年行えるようになり、今年は第7回ふれあい夜市の開催になります。

ラーフは社会福祉法人になり、その役割として公益事業の一環として夜市の実行委員会の立ち上げを行っています。最初は単純な思い出話がきっかけですが、夜市を再開させるのであれば、昔のように屋台を並べるだけでは面白く無いですし、自分が行っている事業は福祉活動なので、当初は何もわからないまま福祉団体や地域団体に手伝ってくれないかと呼びかけを始めました。
ただ、夜市に福祉色を全面に押し出すのではなく、『焼きそばを売る屋台ならば、メインは焼きそばの販売であること。福祉関連の商品も販売したい場合は、メインで販売する形ではなくあくまでサブで取り扱う』というルール決めを行いました。そして夜市を行う場所も昔と同じ場所の通りでやりませんか?と。

ですが、それだけでは面白く無いので、棒高跳びを路上でやってみてはどうかと考えつきました。大学生の頃アメリカへ留学していた時に、棒高跳びをショーとして行っているという話を聞き、ビデオを見せてもらったことがありました。
自分も学生時代に棒高跳びをしていた事もあり、それを夜市でやったら面白いのではないか、という発想でした。夜市復活の第1回から行っていますがお客さんにも好評で、棒高跳びのストリートパフォーマンスは毎年行っています。

福祉が目的だけでやるのではなく、スポーツや地域で芸能活動を行える場所を探している方、発表の場所を探している市民団体の方たちも一緒に参加することができれば、障がいの有無に関係なく地域の人との接点がきっとできると思います。
自身が子供の頃のように屋台や店が並び、お年寄りから小さなお子さんまでたくさん楽しめるような夜市を同じ通りで実現させたい。単純に自分が子供の頃の楽しいイメージを再現したかったのです。

昔のように毎週土曜夜市の開催実現は難しく、現在は年1回ですが開催しています。
今年は9月24日(土)に行います。(天候が悪い場合は中止)
機会がありましたら是非お立ち寄りください。

聞き慣れない言葉「挑壁」とは

毛利さんの著書「夢をかなえる挑壁思考」
毛利さんの著書「夢をかなえる挑壁思考」
――毛利さんの著書「夢をかなえる挑壁思考」を読ませていただきました。タイトルや本文にも使われている「挑壁(者)」という言葉を初めて目にしたのですが、どういう思いが込められているのでしょうか?

現在、障がい者というマイナスに取られがちな言葉を挑壁者というプラスのイメージに変えたいという思いがまず一つです。この言葉自体、『挑壁者=障がい者』ではなく、何かに挑もうとしている方に当てはまる言葉なのです。
健常者でも、『やろう!』という思いや目標を持っている人、このニュアンスに当る方もそうですし、ユニバーサル的に使って行って欲しい言葉。
『障がい者=挑壁者』に変えたいのではなく、障がい者も健常者も含んだ言葉で、別け隔てなく、前向きに挑戦していく人たちというような、ユニバーサル的な言葉になってほしいというのが、この言葉に込めている思いです。

障がいがある人たちは、『挑壁者=障がい者』と思うかもしれないですが、「私は障がいはないけど挑戦しているので私も挑壁者だと思う」と、言葉の意味に気付いてくれた方もいます。
「障がいの有無は関係ない」と、その言葉で気づいてもらえたら最高だと思っています。

毛利さんの今後の目標・挑壁は何か

――今後、新たに考えていること『挑壁者』としての目標や構想はありますか?

社会福祉法人として活動するとなると、制約がかかる部分があるので、新たな法人を立ち上げ、10年間で100人の挑壁者を一般雇用したいと思っています。
直接利益供与は出来ませんが、利用者の方や挑壁者の方たちが働きたいと言われた際に、選択して働ける環境を作っていきたいと考えています。

――つまり様々な業種の雇用枠を作り、その中から自分が「やりたい!」と思う仕事を選択できる会社の仕組みということでしょうか?

そうですね。自分がやりたい仕事、自分で選んだ仕事なら自信を持つことができますよね。

サービス業、製造業をしたいなど、就労支援A型・B型、一般雇用などレベルがあると思いますが、それも踏まえきちんと選べるものを作っていきたいと思っています。当然、就労に結びつかない、場合によっては引きこもっていて就労に至っていない方など、ステップアップしていかなくてはいけないので、現在運営しているウィズを有効活用したり、福祉的な就労をするまでに、まず生活を整えたり充電期間としての場所は社会福祉法人として1ヶ所作れています。

ゆくゆくは一般就労で100人の雇用を目指したいというのは、納税者を増やしたいという意味でもあります。
障害年金は税金から支払われているので、その税金をしっかり有効活用して働く旨のものに変えていく。納税をすることによって、しっかり生活を確立してもらい義務的な部分でも、『障がいの有無に関係なく財政に貢献している!』という意欲を持つ人たちを仕事を通じて増やし、納税者になってもらいたいと考えています。

障がいのある方は、私の調べでは単純に日本の総人口中1000万人ほどになります。その中で納税者は一部かもしれません。でも、その方達が全員納税出来るようになれば、国はもう少し福祉や他の施策に動けるような世の中になると思います。

ただ、全員一般就労というのは難しいとは思いますが、一部の人からでも国民の一人として当たり前のようになるようにしたい。少なくとも100人は可能ではないかと思っているので、そのための会社設立を考えています。

まだ動き始めたばかりではありますが実現するため、今後も下準備を進めていく予定です。

――今回はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
今後の活躍を応援させていただくとともに、注目させていただきます。

取材スナップ

取材にご協力頂いた毛利さんと奥様
取材にご協力頂いた毛利さんと奥様
お風呂などに移動する際に使用される器具に<br>実際に吊られる体験もさせていただきました<br>
お風呂などに移動する際に使用される器具に
実際に吊られる体験もさせていただきました

編集後記

取材日は猛暑でしたが、毛利さんといろいろな話をしていくうちにお互い時間を忘れそうになるほど話し込んでしまいました。

じつは毛利さん、ご自身の著書『夢をかなえる挑壁思考』を全国の特別支援学校に配布したいと考えられて、今年6月にクラウドファンディングを利用し、配布するための準備費用の支援者を募られていました。
支援者の方々により資金は集まり、8月中に発送を行い全国の特別支援学校に9月上旬には行き渡る予定で準備されているとのこと。
『夢をかなえる挑壁思考』は、点字化、音声化、電子書籍化を進めており、英語化も行い海外への展開もされます。英語化以外のものにつきましては、障害者手帳をお持ちの方ならサピエと検索して頂ければ、サイト内にサピエ図書館という項目があるのでそこで登録していただけると点字・音声・電子書籍(テキスト形式)を見ることが可能です。(詳しくはサピエ図書館の利用の概要説明をご覧ください)

サピエURL:https://www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW

取材担当:だっちょ、大熊 惹句

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