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香川でがんばっじょるけん

人と犬が笑顔になれる社会を目指して!ドッグトレーナー 川西 智紗 先生

映画「きな子~見習い警察犬の物語~」のモデルとなった訓練士さんです!

ドッグトレーナー 川西 智紗
Cheese Dog Academy 代表
日本警察犬協会 公認訓練士

香川県生まれ
「人も犬も、家族みんなが笑顔になれるように」と、飼い主さんとワンちゃん両方の立場に立って考える指導法が、とても分かりやすいと評判の若手実力派ドッグトレーナー。
大阪の動物専門学校で2年間学び、在学中から師事していた県内随一の規模を誇る、丸亀警察犬訓練所 亀山伸二所長の下で6年間修業。そして2009年、警察犬公認訓練士に合格。翌2010年5月、亀山所長から実力を認められ独立。Cheese Dog Academyを開業。

香川でがんばっじょるけん!第4回

最近、愛犬のしつけに苦労している方が増えているそうで、その悩みに応えてくれるのがドッグトレーナーさん。今回、川西先生が主催するしつけ教室にお邪魔し、その模様を取材させて頂きました。しつけ教室の記事はこちら

ドッグトレーナーの仕事は、はたから見ると「可愛いワンちゃんと触れあえて楽しそう!」と思うかもしれませんが、秋田犬など大型犬の依頼もあり、気力・体力ともに強くなければ務まりませんし、飼い主様から寄せられる悩みも様々。我々が想像しているよりずっとハードなお仕事です。

でも川西先生はとっても楽しそう!

なぜ?

どんなきっかけでドッグトレーナーを志し、どんな思いで日々犬たちと向き合っているのか、またどんな未来を描いているのか気になります。
では早速お話しを伺っていきましょう。

ドッグトレーナーを志したきっかけ


――どんなきっかけでドッグトレーナーを志したのですか?

私の祖母がブリーダーをしていて、祖母の家に遊びに行くといつも犬が30頭くらいいるんです。そこで私や姉たちは決まってすごく吠えられるのですが、祖母には全く吠えません。毎回その繰り返しで、子供心に「ばあちゃんカッコイイ!」と。すごく憧れましたね。

あと小さい頃から犬が大好きで、将来は犬に関わる仕事ができたらいいなと考えていたのですが、犬に関わる仕事は獣医さんしか当時知らなくて。でも血を見るのが苦手でちょっと無理かなと思っていたら、テレビで「トリマー」という仕事があるのを知りました。

――それはいつ頃のことですか?

小学校4年の時です。もう絶対トリマーになろうって。
それからはずっとトリマーひと筋でした。


――えっ!? トリマー?

そうです。トリマー。
でも高校に入って将来の進路を本格的に考え始めた頃、あるテレビの特集で犬が保健所で殺処分される話を観ました。その番組で衝撃を受けたのが、処分される犬の7割近くが実は飼い主からの持込みだったという事実。

――保健所が保護した犬より多いんですか?

そうなんです。しかも持ち込まれる理由が、噛む・飛びつく・引っ張られて怪我をしたなど、きちんとしつけができていないことで起きるトラブルが多いそうです。
しつけが原因で、飼い主がお金を払って殺してくださいって保健所へ連れてくることがすごいショックで・・。

もし自分がしつけをできれば、そういう可哀相な犬も、困っている人も両方を助けられるんじゃないかって。

ちょうどその頃、動物の専門学校から取り寄せた学校案内の資料に「ドッグトレーナーコース」っていうのを見つけて。トリマーとしてワンちゃんを可愛くキレイにするよりも、可哀相な犬たちを何とかしたいと。そう考えて犬のしつけを仕事にできるドッグトレーナーを目指すようになりました。

警察犬の訓練士さんってカッコイイ!


――高校卒業後の進路は?

高校卒業と同時に、大阪にある2年制の動物専門学校に進学しました。
入学当初は職業犬に全く興味がなかったのですが、家庭犬と介助犬と警察犬の3つの授業を受ける機会がありました。その授業の中で、警察犬の訓練士さんが連れてきたワンちゃんが、すっごく楽しそうに作業をしていたんです。

警察犬の訓練士さんは、おやつやおもちゃを持っていなくても、ワンちゃんに注意力があって指示をきちんと聞いていました。できないときはきちんと叱り、できれば思いっきり褒めてあげる。訓練士さんに褒められることが嬉しくて、ワンちゃんも喜んで作業をする。訓練士さん自身がワンちゃんのご褒美になっていました。それを見て「警察犬の訓練士さんって、カッコイイ!」と思いました。

でも警察犬って警察官が訓練する特別な犬で、自分には関係ないなと思っていたら、「この子、もともとは家庭犬だよ」って言われて。
よくよく話を聞いてみると、警察犬の大半は民間の犬で、警察犬の訓練士さんも民間の人。しかも普段は警察犬じゃなく家庭犬のしつけをメインにしているそう。民間の犬が試験を受けて合格すれば警察犬になれるという仕組みだったのです。

それなら普段は家庭犬のしつけもできて、今自分が目指している「犬と人の役に立つ」こともできる。犬もすごく楽しそうだし、ちょっと頑張れば警察犬にまでなれるかもしれないと思うと、もう警察犬の訓練士を目指さずにはいられませんでした。


――警察犬の訓練士を志すまでに、紆余曲折があったんですね。

そうですね。自分がカッコイイと憧れたものに影響を受けやすいのかもしれません。

それからはもうやれることは全部やりました。
授業で教えて頂いた訓練士の先生に、見学や手伝いなどで何度も訓練所へ訪問しましたし、個人的に研修をお願いして、訓練所へ通って勉強させて頂きました。

――行動力、ハンパない!思いついたら即行動するタイプですね。

よく言われます(笑)
当時、ゼミの同期に負けたくないというのもあって。テストも実技も頑張りました。

また自分は香川出身なので、香川にも同じような訓練所がないか訓練士の先生にお訊ねしたら、友達の訓練士さんが丸亀に偶然おられるということで、ご紹介いただきました。
1年生の夏休みには丸亀の訓練所に10日間ほど泊まり込みで研修に行きました。それが長年私がお世話になる丸亀警察犬訓練所との出会いでした。


――すごいタイミング!まさかの。そうやって頑張られたから、良いご縁があったんですね。

ご紹介いただいた訓練士の先生に感謝です。
それからも冬休みを利用して、2~3週間泊まり込みで丸亀の訓練所にお世話になりました。そうこうしていると、訓練所の亀山所長から「このまま見習いに来るか」というお話を頂きました。専門学校には当時早期就職という制度があって、その制度を利用して2年生の夏休みからは学校を公休して、卒業までずっと丸亀の訓練所に住み込みでお世話になりました。

きな子との運命の出会い


――訓練所での修行時代、どんな毎日でしたか?

毎日が発見でした。仔犬の出産に立ち会わせてもらったり、調子が悪い犬の面倒を見たり。50頭の犬の世話をするので毎日クタクタでした。でもたくさんの犬と毎日触れあうことで、それぞれの犬の特徴や性格を肌感覚で学ぶことができました。

――訓練所はどうして住み込みなんですか?

動物が相手の仕事なので、朝晩の世話から日中の訓練、緊急時の対応まで24時間体制になります。なので住み込みじゃないと難しいですね。
お休みをいただけるのは、お盆とお正月の年2回だけなので、それ以外は自宅に帰れません。友だちの結婚式や同窓会も休みが合わないと行かなかったですね。

――とてもハードな環境。女性が住み込みっていうのも大変ですね。

きついと思ったことはありませんでした。
所長や所長の奥様をはじめ、一緒に暮らしている訓練所の家族が支えてくれました。また一緒に見習いをしていた子と、お互い頑張ろうって励まし合ったり。とにかく「ここでやめたら負けや」と毎日必死でしたね。
ただ警察犬はどの訓練所も住み込みがメインなので、他人の家に住み込むのがダメな人は、3ヵ月で辞めることも。共同生活ができない人は厳しいと思います。


――きな子との出会いは?

きな子とは専門学校2年の秋に、研修で訓練所にお世話になっていた時に出会いました。亀山所長がお互いの勉強にもなるし、一緒に歩めるのではと、初めて担当させてくれたのがきな子でした。きな子も見習いの警察犬で、私も見習いの訓練士。お互い見習い同士、一人前を目指して一緒にトレーニングを積み重ねていきました。

――きな子との一番の思い出は?

訓練所の卒業を前に挑んだ、きな子との最後の警察犬試験です。この時の試験がきな子と一番分かりあえていました。きな子も私の気持ちに応えようと、最後の最後までねばり強く取り組んでくれました。
二人で力をあわせて精一杯頑張りましたが、結果は残念ながら不合格。一緒に合格を目指し、挑戦を続けてきたのも今日で最後と思うと、胸がいっぱいになりました。


――訓練所での6年間を振り返って

丸亀警察犬訓練所でお世話になって6年、長いようであっという間でした。
独立できるまで育てて頂いた所長や奥様をはじめ訓練所の家族にはとても感謝しています。

初めは訓練所の仕事についていくのがやっとでしたが、2年目になると仕事にも慣れ、生活のリズムもつかみかけてきました。そんな矢先、香川県警主催の研修会できな子が起こしたズッコケのハプニング!

その日からテレビや新聞などの取材対応や、イベントの参加など初めてのことばかり。あまりに急なことだったので初めは戸惑いましたが、小学校や幼稚園で防犯イベントに参加することで、子供たちがきな子を通して安全教育に興味を持ってくれたり、一般の方も警察犬の訓練に興味を持ってくれるようになったことが自分のやりがいになりました。またその中で得た貴重な体験は、今の自分にとって、とても大きな財産になっています。

“チーズ”は笑顔を作る魔法の言葉


――独立のタイミングは?

所長から「そろそろ一人でやってみないといけないな」と、声をかけていただいた時です。
一般的には5年くらい住み込みで修行して、実力がついたと所長に認めてもらえれば、警察犬の公認訓練士の試験に挑戦できます。その試験に合格し、一人でもやっていけると所長が判断したときが訓練所を卒業する時です。
私もちょうど5年目で所長から訓練士の試験を打診され、無事合格することができ、6年目で卒業することになりました。

――屋号のチーズドッグアカデミーの由来は?

写真を撮る時に、みんなが笑顔になれるよう「はい、チーズ」って言いますよね。私もこの仕事を通して「人も犬も、家族みんなが笑顔になれるような存在になりたい」と思い、この名前をつけました。
この看板は和歌山に帰って石屋を継いだ専門学校の同期が作ってくれました。私ともう一人、同じ時に免許を取って、同じ時に独立した2人だけに作ってくれた思い出の看板です。

――専門学校の同期で訓練士になった方は何人いますか?

家庭犬や介助犬も含めた訓練士コース全体では180人いましたが、警察犬ゼミはわずか19人。その中で訓練士になったのは私ともう1人の2人だけ。他の人は獣医さんの助手になったり、ペットショップで働いたりといろいろですね。

――とても狭き門ですね。

専門学校を卒業して訓練所へ見習いに入っても、訓練所での厳しい修行に途中であきらめてしまった人も多かったですね。

県警の年頭視閲式で、警察犬のあん子と行進中!
県警の年頭視閲式で、警察犬のあん子と行進中!

――毎日の仕事の中で心がけていることは?

ワンちゃんの体調が良くないとしつけもできませんし、お客様から大事な命をお預かりしているということを、いつも忘れないよう心がけています。
犬は身近な存在なので、どうしても楽しいとか可愛いという目で見てしまいがちですが、それが先にくると体調の変化を見落としてしまうので、ワンちゃんをきちんとチェックして、少しの変化も見落とさないよう、日々細心の注意を心がけています。


――この仕事をやってて嬉しかったことは?

やっぱり、しつけでお預かりしたワンちゃんが「すごく賢くなったよ」って、飼い主様が喜んでくれたことですね。
またしつけを担当したワンちゃんのお宅に後日訪問した際、ワンちゃんが喜んで出迎えてくれるのですが、テンションが上がっている状態でも、飼い主さんの言うことをきちんと聞く姿を見て、ワンちゃんの成長を目の当たりにした瞬間ですね。

人と犬が幸せに暮らせる未来に-


――「犬と人間」の理想の関係とは?

人間にとって犬は、7000年前の縄文時代から一緒に暮らしてきた一番身近な動物です。でも身近で可愛がり過ぎた結果、言うことを聞かなくなっているケースが多いように思います。共存する中でもやっぱり人は人、犬は犬。一緒に生活する家族であれば、人の言うことをきちんと聞けるということはすごく大事。しつけがきちんとできたなかで共存することが大切だと思います。

――将来の夢を教えてください。

しつけで悩む人が減ることが一番の理想ですね。
話は飛躍しますが、イギリスやフランス、イタリアでは訓練士という職業がないんです。しつけの方法を人間に教える「インストラクター」はいますが、犬を訓練する「トレーナー」はいません。


――インストラクターさんって、今日のしつけ教室のように飼い主さんにしつけの方法をレクチャーする職業ですか?

そうです!ああいう職業しかないんです。
何故かというと、家庭で犬をきちんとしつけることが必要だと理解している国なんです。自分の子供にしつけが必要なのと同じように。

日本ではしつけが必要だと理解している方が多いかというと、まだ少ないと思いますが、将来は犬を飼っている人だけじゃなく、周りの人にもしつけが必要だと理解してもらえる社会になって欲しいですし、それを広める手助けができる訓練士になりたいです。

――川西先生の今後の活動とご活躍に期待しております。本日はありがとうございました。

川西先生の家族たち

警察犬のあん子 とっても優しいおばあちゃん<br>
警察犬のあん子 とっても優しいおばあちゃん
調子に乗りやすい茶々 ガンツとビスケのお母さん
調子に乗りやすい茶々 ガンツとビスケのお母さん
素直な男の子ガンツ
おてんば娘のビスケ

編集後記

インタビューの中で、川西先生にとって犬とはどんな存在ですか?とお聞きすると「幼い頃からいつも側にいるので、いなくなることは考えられない。たとえこの仕事をしていないとしても自分の人生の中では絶対に欠かせない存在」と、嬉しそうに話してくれたことが忘れられません。

【取材協力】
◆チーズドッグアカデミーのホームページ
  http://cheesedog.net



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